名古屋が誇る鋳物ホーロー、バーミキュラ。愛知ドビーさんの工場でホンモノの製造を体感して来ました。
鋳物ホーローの鍋といえば、フランスのル・クルーゼやストウブが有名だが、それより良いものを、日本の、それも名古屋で作っているメーカーがあると知ったのは、半年以上も前のTVでのこと。その頃すでに手に入れるまで数ヶ月待ちと知り、実際にどんな鍋なのか興味があった。そして今回、初のAISCでの見学会で、その現場を実際に見ることができるというので、参加させていただいた。参加人数に限りがあり、7名での訪問。
まずは会議室で、土方邦裕社長と土方智晴専務より、会社の歴史、バーミキュラを作るにいたるまでの苦労や秘話を伺う。もともと持っていた鋳造の技術だけでなく、ホーローの工程も、外注に出すことなく、ここから生まれ、ここから商品が発送されていることを知る。
そして、バーミキュラで無水調理された野菜を試食。素材の味がダイレクトにして甘い。社内に使い方や調理方法について問い合わせができるコンシェルジュがいるとのこと。良い鍋を提供するだけでなく、実際に調理する時の注意点やコツなどがわかると、とても安心して使える。用意していただいた試食用の野菜は、あっという間に食べつくしてしまった。
その後、工場へ移動。まずは鋳造の現場へ。高温の鉄を型に流し込む。もっとも機械化されているところかと思っていたが、実際には、ひとつひとつ感覚だけで、高温の鉄を型に流し込んでいる。
そしてバーミキュラのすごさをより感じるのは、型からはずし、表面加工をしたのち削る精密加工。0.01ml以下の精度まで、音などを頼りに感覚で削っていく。完成したものは、蓋と置いた台の間に紙1枚が入らない程。
そして最後のホーロー工程。当日は担当者が体調不良でお休みとのことで、実際に行われている作業すべてを見ることは出来なかったが、この工程を勉強中の社員の方が行っているところを拝見。やはりここでもそこに携わる方のセンスや感によって、この鍋が作られていることを知る。
その他、鍋に名前など入れることができるネーミングサービスや、ホーローが剥がれた際にリペアをしてもらえることなど、とにかくユーザーの気持ちに立ったサービスがしっかり行われている。 鍋という毎日使う調理道具に、これほどの工程、そしてこれほどの職人技といえる技術が集まって、初めて消費者のもとに届いていることを目の当たりにし、現在15ヶ月待ちという理由に納得した。AISCに参加しているショップが扱っているものに関しても、すべて職人や技術者が手を抜くことなく、ひとつひとつ高いクオリティーを守っている商品を扱っていると思うが、販売する側としても、そこに誇りを持ち、またそういった現場を実際目でみることで、お客様に、商品に対する思いと自信を伝えていかなければならないと改めて感じた。